「ブックマン」第6回 熱い社会変革に対する提言

『ソーシヤルワーカー~「身近」を革命する人たち』 
    井出英策 柏木一惠 加藤忠相 中島康晴著 ちくま新書

本書を一読させていただいての第一印象は、著者4名の方のソーシャルワーカーに対する思いがとにかく熱いということです。ソーシヤルワーカーは、単なる資格所持の福祉専門職ではなく、人々の生活の緩和と改善に向けて社会に対する働きかけや社会変革を進めるための卓越性と潜在力を確認しなければならないと主張される。確かに現在のソーシャルワーカーつまり社会福祉士や精神保健福祉士は、勤務先に属し内向きな仕事しかできていないという現状があります。しかも現在のソーシャルワーカーは資格で分断され、団体もそれぞれ分かれている。これでは、現在、日本の社会で起こっている構造的な貧困や福祉課題などに立ち向かえないと。人間とは総合的な生き物であるから、総合的な教育を受けたソーシャルワーカーの絶対数を増やし、共通の価値、基盤に裏打ちされた専門性の体制が必要であると指摘される。

本書は、人を雑に扱う社会から、社会的居場所や役割を作り出す、「希望への挑戦」を呼び掛けています。それは、身構えなくても、自分の周りにいる方から、気にかけることから始まりますと。関心のある方に是非一読をおすすめします。
(文責:代表理事 五百木孝行)

10月 12, 2019