2024年を終えるにあたって思うこと
今日で2024年が終わり、いよいよ明日から2025年の戦後80年を迎えます。今日までの戦後79年間は、日本国憲法の3原則(国民主権・平和主義・基本的人権の尊重)に基づく、いわゆる戦後民主主義の実践だったと思います。しかしここにきて民主主義とは一体何なのか。国民は、よくわからなくなってきているのではないかと思います。私が若い頃の半世紀前でも、民主主義は物事を「多数決」で決めることだと主張する多くの人たちが多かったと思います。しかしこれに対して少数者の意見を尊重するのが民主主義との考えも強く、その拮抗だったと思います。つまり「個人の尊重」の社会的仕組みをどう作っていくのかが枢要だと思います。しかしここにきて、明日に夢や希望を持てず、経済力も低下して貧乏になり、民主主義に確信を持てなくなってきたのではないでしょうか。
私が現在運営しています権利擁護と成年後見事業の立ち位置は、憲法に基づく個人の尊重の理念に根拠があると思います。それは意思決定支援の背骨でもあります。しかし多くの人権や権利は、「自己責任」とみなされる論調にさらされています。例えば、生活保護を受けることは、否定的に見なされる。しかし、人間は、いつ貧困者になるかわかりません。やむなく生活保護の申請に福祉事務所の面接室に行けば、二度と行きたくない思いをする方も多いと思います。仮に生活保護が受けられても、約月8万円の生活扶助費で、人間らしい生活ができるか一度生活してください。また障害者になれば、いかに現在の障害福祉サービスの内容が複雑で中途半端であるかを痛感すると思います。必ずしも個人を尊重する仕組みになっていないのではないか。もっと個人の生活者の視点から民主主義の現実を捉えるところから始めなくてはならないと痛感した一年でした。そこから、明日への希望をつなぐ営みが大切と思います。 (文責:代表理事 五百木孝行)