新年の抱負と展望~成年後見制度の変革が求められている

 新しい年の幕開けを迎え、私たちにとっていい年になることを念願し成年後見制度の改革について少しお話ししたいと思います。

 まず、第一は、現行の財産管理中心の成年後見の利用は、大きく改革されなくてはならない時にきているということです。現在の成年後見制度は19年目を迎え、利用状況や社会状況が大きく変わってきました。当初親族後見人が約9割であったものが、2017年末では3割を切りました。そこから親族の生活課題が垣間見えてきます。親族の扶養関係が機能しなくなってきたことや親族の自助能力だけでは親の介護や家族の生活支援をできなくなってきたことです。一方で一人暮らしの高齢者(高齢者夫婦のみを含む)が、高齢者の半数を占めています。ここにおいて、財産管理にとどまらず身上監護及び生活支援の分野において、後見人としての対応が必然に要請される状況になっています。

 第二は、保佐及び補助の一人住まいの在宅ケースについては、個人後見人では余程介護サービス事業所などとの関係機関と連携がうまくいかないと本人をサポートすることができないということです。月1回程度の本人面会や生活費渡しでは、安定した日常生活を維持することは困難になっています。週単位での本人面会や生活費渡しをして、本人との接触を増やして、変化や課題を素早くキャッチしながら対応、解決していくことが重要になっています。これは個人後見人ではかなり体制的に限界性があるといえます。このような受任ケースについては、法人後見人のチームとしての対応が大きな力を発揮するのではないでしょうか。

 第三は、現在の法定後見制度は、民法の規定に基づいて運営されていますが、実際の後見現場との距離感がどうしてもあります。現在国においても「利用促進基本計画」が進められていますが、身上監護や生活支援を規定する「後見基本法」(仮称)の法制化がますます重要な局面にきているのではないかと思います。 

 現在、認知症高齢者だけで約500万人いると推計されていますが、現在の成年後見制度利用者は約21万人です。約4%(障害者などを含めると約2%)です。成年後見事業分野における担い手の量及び質の確保と育成は待ったなしの状況です。 
                        (文責:代表理事 五百木孝行)

1月 1, 2019