『ブックマン』第1回  ―家族が安心して介護ができる社会を― 

「認知症鉄道事故裁判」高井隆一著 ブックマン社

 今回から、本の紹介を『ブックマン』というロゴで始めます。『ブックマン』というのは、私が、30代の時に買った、『ブックマン』という商品名のスライド式本箱の商品名。値段も高価で当時の私にはそれなりの覚悟と月賦で買った事情があります。約600冊から700冊は収納できる、ちょっとした巨大本箱です。今も私の横に鎮座していますし、私の知の拠点の一つです。私が、特養に入所しても何とか連れて行きたい相棒です。第1回は、何と「ブックマン社」(本箱会社とは関係ない)が発行した「認知症鉄道事故裁判~閉じ込めなければ、罪ですか?」の新刊書です。『ブックマン』に何か因縁を感じるところです。

 さて、この本は、平成19年12月7日、愛知県大府市で起こった鉄道事件にかかわって、損害賠償事件の被告となった認知症高齢者の家族側からとらえたその全記録です。

平成25年8月9日の第1審では、原告JR東海の全面的勝利判決でした。従来の民法714条に規定している法定監督義務者の監督責任を認めた判例を追認したものと言えます。しかし、家族はこれまで、家族全員で認知症の父を介護してきました。判決は、そのような介護を続ける家族たちのしんどさや思いをほとんど汲み取っていないものとして社会的にも大きな批判の声が上がりました。そして平成28年3月1日の最高裁判決で、逆転勝利判決を被告の高井さんは勝ち取りました。しかし、これで一件落着でしょうか。

この全記録の中で、高井さんたち家族が、父を愛し大切に接してこられたかが伝わって来ます。それに対し、JR東海は、線香の一本もないまま、ある日突然、請求書を送りつけてきた。そのやり方に怒りを露わにされています。裁判の世界も、100年以上前からの民法判例の踏襲だけでは現実に合わない面が出ているのではないかと思います。この裁判を契機として家族が安心して介護ができる仕組みづくりが求められます。現在の介護問題の重要な問題点がいくつか提起されていると思います。「2025年問題」はそこまで来ています。(文責:代表理事 五百木孝行)

6月 18, 2018