「第15回日本成年後見法学会学術大会」に参加して

 節目の第15回の学術大会が、6月2日、横浜市内の神奈川大学で開催されました。よく覚えていませんが(霞が関の官僚のマネではありませんが)、第7回学術大会から、(これも官僚のマネではありませんが)記憶によるとほぼ毎年参加してきました。特に今年は、成年後見制度の利用促進基本計画の2年目に当たります。この計画は努力義務であるため、いよいよ同計画の実行性が問われるタイミングになってきているわけです。 
 日本の後見制度は、現行民法が施行された明治31年からありましたが、「禁治産」、「準禁治産」という人間失格のレッテルを張られるような制度であまり普及していません。それが、2000(平成12)年に、社会福祉制度が「措置」から「契約」へ転換するのに合わせて、特に介護保険制度の両輪の一つとして、新しい現行制度がスタートしました。現行制度になって18年目ですが、昨年末で利用者は約21万人で、認知症の方だけで現在約500万人いると言われている中で、利用者は低迷しているといわざるを得ません。
 2010年、同学会は、「第1回成年後見法世界会議」を横浜で開催し、「横浜宣言」を発表しました。「横浜宣言」の実現のために、公明党などに働きかけて議員立法として、2016(平成28)年に「成年後見制度利用促進法」が成立施行され、利用促進基本計画が作成されたわけです。 
 同計画では、特に成年後見制度の利用者がメリットを感じるようにしなければならないとしています。財産管理だけでなく、身上保護も重視して行う仕組みを作りなさいということです。従来の成年後見制度は、財産管理さえやればいいという後見人が多く、本人の面会訪問も定期的に行う後見人は少数でした。利用者から見ると、通帳の管理や書類の作成だけで管理財産額に応じて約月2万円~5万円の後見人報酬を払うのは納得がいかない側面があったわけです。しかしそれだけが利用者低迷の理由ではないと思います。例えば、利用者のほとんどが医療サービスを利用しているのに、後見人に医療同意権がないなど、実情にあっていない制度仕組みがあります。以上のように現行の成年後見制度には、様々な課題が山積しています。今後、この法人ブログでいくつかの課題などについて私の私見を話したいと思います。
(文責:代表理事:五百木孝行)

6月 3, 2018